あたたかい冬の日に雨降り


 今年の冬は、あたたかい。


 前の年よりも、その前よりも。


 一番あたたかくて、泣きたくなる。


「あ、雨だ」


「ほんとだ。雪、溶けちゃうね」


 降り出した雨は、泣いているみたいな音で、静かに優しく降り注ぐ。







 なあ、俺たちはさ。


 あの時なにが正解かを求めて、それだけで生きていたよな。


 正解はたったひとつだって疑いもせず、傷つきながら生きてきたよな。


 俺らが選んだ選択肢。


 選ばなかった選択肢。


 俺らが歩んできた道のり。


 そして、今。


 でも、その『正解』なんて、きっとこれからも誰にもわからないままなんだ。


 ……そうだな。


 答え合わせをするなら、もっと先。


 俺らみんなが、あいつに会える時、かな――。