あたたかい冬の日に雨降り


 俺の後悔なんて、“奏汰に気を遣わせていること”、所詮そのくらいしかなくて。


 たとえば、あの時葉月に好きだって言ってたらとか、考えない日はなかったと言えば嘘になるけど、大切な幼なじみふたりがやっと結ばれて幸せそうに笑ってることが嬉しくないなんて、そんなこと思うはずもない。


 もうとっくに、俺の中で葉月は“好きだった人”になってる。


 いろんなことが変わっていく。


 今日も、明日も、これから先も。


 冬は、嫌いだった。


 今も好きだ、なんて言い切ることはできない。


 美月を失い、奏汰を失いかけ、葉月が傷つくきっかけになった季節だから。


 それでも、嫌いだ、なんて言い切ることもできない。


 それどころか、冬を少しずつ好きになっていく。


 誰のおかげだと思う?


 なあ、聞いてくれるか?


 俺にもできたよ。


 大切な人。