冬特有の澄んだ空気、ここから見下ろす町は白く綺麗に化粧されていた。
桜の季節は、まだ少し先。
空がオレンジ色になって紫になる、あの綺麗な空の色が見られるのも、もう少しだけ先。
いつだろうか、ここに春が来るのは。
「イチ、わかってるよね? この子たちの名前の意味」
むにゃむにゃと、言葉にならない言葉を話すチビっこを見る。
……わかる、ちゃんと。
この俺たちの思い出の場所にちなんで名前を付けたことも、意味がそれだけじゃないことにも気付いてる。
今は腕におさまってしまうくらい小さいこいつらだけど、大きく元気に育ってほしいと思った。
そう思えることが、ただ幸せだ。
だから、俺もちゃんと――。
「……あのさ」



