「お前は、俺に対して罪悪感でもあるのか」
飲み慣れない酒を一気に煽って、口を開いた。
案の定、奏汰は驚いた顔で俺を見てた。
生憎だが、俺だってあの時のままじゃない。
変わってるし、進んでる。
「写真も、やたら葉月とふたりにさせようとしたりするのも、俺があの時あいつを好きだって言ったからか」
こんな話をしたくて、久しぶりにこいつらに会おうと思ったわけじゃないけど、良い機会だと思った。
「今になって、俺に悪いとかそんなこと思ってんなら、」
「違う……。いや、合ってるけど、そんなつもりじゃなくてさ」
さっきの俺と同じように、酒を一気に飲み干した奏汰は、薄らと赤くなった顔で、視線をそらしながらぼそりと溢す。
「俺、葉月と結婚してさ。ふたりで過ごす時間も増えて、なんかの映画見てた時に葉月があの時のこと思い出したのか、いろいろ聞かされたんだよ。想いを告げずに終わらせることがどれだけ難しくて、どれだけ苦しいかとか。……そんで、イチもそうなのかなって思った。たぶん、無意識」
「……惚気か」
「……いや、そうだけど、そうじゃなくてさ。ああ、もー……」
聞けば聞くほど、やっぱり奏汰は奏汰のまま変わっていなくて、だけど昔より不器用になったな、なんて感じる。
前はもっと自信ありげに、余裕そうな顔して行動してた気がするのに。



