一番星がまたたく、夕方と夜の境目の時間。



時々小学生たちとすれ違いながら、一吾くんと住宅街の道を進む。


制服のまま2人で歩くと、普通の高校生らしい生活を送れているように思えた。



「あの女うざいんだけど」



一吾くんはダルそうな声でそうつぶやく。



「まあまあ、せっかく勉強教えてくれてるんだし」


「おれに気があんの?」


「え、その、あはは。そうかもね?」


「興味ない」


「そう言わずにさ~」


「何? じゃあ一発やっとけばいいの?」


「もう! そういうんじゃなくて!」



彼の発言にあきれていると、スマホが振動した。


ナズちゃんからのラインだった。



『一吾くんまじやばい! あのやる気ない感じとかマジ好みすぎる!』


『そっか。喜んでもらえて良かったー』


『のばらちゃんは尚紀くんとお似合いだよね! 応援するよー』



なぜそうなるんだ……。