10階建ての最上階にあるこの部屋から見下ろした先には、某有名大学のキャンパスがある。
そこを駆け抜けて行く私なんかより遥かにスタイルの良い女の子達を見る度、羨望と焦りを覚えていた事アキは知らないよね?
秋生まれだから秋祈(アキト)
舞い散る枯れ葉が彼を取り巻き、くるくると渦になる光景はそんな名前にぴったりだった。
秋だけじゃなく永遠に一緒にいたいと祈ったのに……やっぱり叶わない夢だったね?
どうして私は私に生まれたんだろう?
もし何か意味があるのなら教えてほしい。自分を嫌いにならない為にも。
街路樹を揺らす風が不意に大きな音を立てて、この部屋の窓に叩きつけた。
木枯らし。
その風と共に消えてしまいそうな、でも確かにあった筈の二人の愛。
今はその姿を目に焼き付けて……



