緊張で汗ばんだ手を握り締めて、一体どれくらい経ったんだろう? 数秒? 数分? 時間の感覚さえ失われ、極度の焦りに倒れそうになる。 朦朧とする意識の中、途切れさすまいと記憶を手繰った瞬間……ガタンっと大きな音を立てて開いた扉。 その先から伸びた、懐かしい、大きな大きな腕が私の体をそっと支えた。 そして その唇から吐き出された相変わらずの短い言葉は……。 【完】