確実に私の事だ。
中川って……私を付けていた人かな。
想像しながら、嫌でも聞こえてくる隣の男の声。そして離されない手首。
そうだ……っ!
周りをぐるりと見渡す。
私の鞄の中のスマホは通話中だ。
この状況は、響は分かってるんじゃないかと予想した。
だけど……
先程の車が近付いてく様子もなければ、マンションから慶太郎と祐也の狂犬コンビが出てくる事もない。
この状況には従っていいんだよね?
相変わらず電話を続ける男からは、敵意は向けられてないし、危ない訳ではないのかも。
でもそんな風だから危機感が足りないとか言われるんだろうな。
隣の男を見る。
「今どこ?ああ、あのタバコ屋の?」
うん。こっちは向いてない。

