冷たい舌

 ほっと息をつくとドアが開いて、生意気にもサングラスをかけた龍也が降りてきた。

 途端に、和尚ががなりたてる。

「龍也っ、てめえ~っ!」

 なに考えてやがる、と続けようとした和尚の言葉を遮るように、素っ気なく龍也が言った。

「そんな邪魔なとこに居るお前等が悪い」

「お前の駐車場は裏だろうが」

 龍也は後ろから、ギターケースを取り出しながら言った。

「今日は此処に止めたい気分だったんだ」

 龍也は、姉をちろりと冷たい目で見て言った。

「お前、明日っから潔斎だろ。

 こんなところで男とちゃらちゃらしてないで、昔みたいに穴蔵にでも入ってたらどうだ?」

「誰がちゃらちゃらしてんのよっ」

 龍也は鮮やかなノースリーブを着た透子を上から下まで見て、ふん、と鼻を鳴らし、石段を上がっていく。

「もうっ、年々可愛げがなくなるったら。

 昔はお姉ちゃんお姉ちゃんって付き纏ってたくせに」

「あの図体のでかいのが、今更懐いてきても気色悪いだけだろうが、ほっとけ」

 和尚は吐き捨て、龍也の姿が消えてから石段に向かった。