冷たい舌

 自分がごちゃごちゃ言える立場ではないのはわかっている。

 それでも、これだけは伝えておかなければならないと思った。

 そうでなければ、彼女と出会った意味がない、そんな気さえしてきていた。

「ねえ、透子さん。
 今の貴女にとっては、龍神の巫女であることがすべてかもしれない。

 だけど、もし、貴女に龍神に逆らってでも、欲しいものがあるのなら、戦うべきです。

 僕はそうした。

 そして、後悔なんかしていないから」

 夕陽のせいだろうか。

 透子は眩しそうに目を細めて自分を見ていた。

「余計なことを言いました。

 でも、僕は貴女のためなら協力を惜しまないし、いつでも相談に乗ります。

 まあ、また、余計なことも言うかもしれませんけどね」

 透子はちょっと困ったように、だが、最初に会ったときとは明らかに違う親しさを込めて、笑い返してくれた。