冷たい舌

 




「あ。よかった。まだ、明るい」

 砂利の敷かれた青龍神社の駐車場に入ったとき、透子は茜色の八坂の空に聳える白い鳥居を見上げて言った。

「そういえば、忠尚くんとなにか言ってましたね」

 苦笑しながら、車を止めた春日は透子を振り返る。

「今日はいろいろ突っ込んで訊いちゃったり、お聞き苦しいことを言ったりして、すみませんでした。

 でも、僕から見ても、透子さんは、和尚くんを好きだと思いますよ。

 忠尚くんのためにも、はっきりした方がいいんじゃないですか」

「忠尚? なんでですか?」

 訊き返す透子は、本気でわかっていないようだった。

 ならば、自分がこれ以上、口を挟むことでもあるまい。

 春日は、ちらと駐車場の向こう、石段の方に目を向けたが、わざとそれに気づかぬ振りをする。

 まだ、言っておかねばならないことがある。

 透子の話を聞いてからずっと思っていたのだ。