冷たい舌

 透子は照れたように手を振った。

「私の神楽は、たいしたもんじゃないんですけど、祭り自体は結構大がかりなんで、ぜひ、見にいらしてください。

 そうだ。それで、明日から潔斎なんですよ」

「潔斎って、その間は、身を慎んで生活するわけですよね」

「そう― でも、今はそんなに厳密じゃないんですけど」

「もしかして、その間は、男と会うのも駄目なのかな?」

 冗談めかして言う春日に、透子は、そうですよ、と言った。

 何故かそこで、妙に艶っぽい表情を見せる透子に、どきりとする。

「私、十五の年までは潔斎の間は男の人に会っちゃいけないって、祖母の部屋に閉じ込められていたんです」

「今はいいんですか」

 透子は、いいんです、と恥じらうように言った。

 あれ? もしかして。
 春日は思った。

 巫女としての透子の神事に区切りを与えるもの。

 それは、彼女に何らかの変化があったとき―

 そうか。

 それに思い当たって、春日はつい笑ってしまっていた。

「な、なんですかっ、急にっ」

 途端に透子は慌て始める。