冷たい舌

 巫女である透子さんと、神のような和尚くん、か。

 透子にとって、和尚は自分と同種のものなのだろうか。

 確かに彼女の相手は、普通の男になど出来そうにもないが。

「透子さん。もしかして、和尚くんにも自分と同じように、一生神に仕えて生きて欲しいと思ってるんですか?」

 透子の目は、目の前のダッシュボードを見つめていた。

「……そうかもしれません。

 勝手ですよね、私。
 和尚には和尚の人生があるのに」

 苦笑する透子。
 だが、春日にはわかっていた。

 和尚はそれを勝手とは思わないであろうことを。

 あのとき、面と向かって喧嘩をふっかけてきた忠尚の後ろから、自分に向けられた無言の眼差し。

 それは、忠尚の比ではない、射るような、敵意―

 だが、その目を思い出しながらも、口走っていた。

「また……逢ってくださいますか?」

 はい、と頷いた透子は、あ、と声を上げる。

「そうだ。もうじき、八坂祭りなんですよ」

 青龍神社が中心となって、夏の始めに三日間行われる遠くの都市からも観光客を集める祭りだ。

「透子さんが、御神楽を奉納される、あれですよね」