冷たい舌

「そこまで好きになれる人に出会えて、春日さんは幸せだと思います。

 なにも……恥じ入る必要なんかありません。

 そうして、堂々と言える貴方がうらやましい」

 そう言い切る透子の言葉に、春日はちょっと笑って言った。

「でも、透子さんにもいるでしょう? 好きな人」

「え?」

「和尚くん―」

 どくんっ、と額が疼いた。

 その鼓動よりも早く―

「ち、違いますっ」

 必死に手を振りながら、ドアに向かって後ずさる。

 春日はそこで意地悪く笑った。

「だって透子さん、忠尚くんのときはそうでもないのに、和尚くんのことになったら、やたら過剰に反応するじゃないですか」

 そっ、それはっ、と言い繕おうとしたとき、春日は言った。

「本当は最初に見たとき、思ったんです。

 言ったでしょう?
 わかるんです、僕」

 ななな、なにがっ!? と透子は窓にへばりつく。

 春日は子供に言い聞かせるように言う。