冷たい舌

「それは、僕の経歴とか、自分でも言うのもなんですけど、真面目そうな外見とか、そういったものに目がいってるだけでしょう?」

 その言葉に、透子は眉根を寄せる。

「なんでそんなに自分を貶めるんです?

 私は春日さんの経歴なんかよく知らないけど、春日さん、好きですよ」

 好きですよ― なんてことなく言っただろうその言葉に、どきりとする。

 そして、その邪気のない言葉が、ずっと胸の奥深くにしまい込んでいた罪の意識を掘り起こす。

 そんな春日の変化には気づかず、口許に指を当て、少し感覚を鋭くするような顔をして、透子は言った。

「だって、春日さんの周り、すごく空気がきれい」

「空気がきれい?」

 その目は、春日を通り越して、その肩の後ろ辺りを見ていた。

「うん……きれい。

 なんていうか。一見、感じのいい人でも、側にいて苦痛を感じる人っているんですよ、私。

 でも、春日さんの側にいると、なんか落ち着くんですよね」

「それって、オーラのことですか?」