冷たい舌

「反抗期なんでしょうか?

 そりゃ、子供の頃から和尚や忠尚といることの方が多かったから、姉弟っていっても、龍也も淋しい思いしてたかもしれないけど」

「いや、そういう意味じゃなくて」

 え? と透子の澄んだ水を思わせる瞳が自分を向き、なんだかわからないまま、すみません、と謝りたくなった。

 純粋すぎるその眼差しは、彼女が龍神の巫女として生きてきたから授かったというだけではないだろう。

 恐らくあの二人が守ってきたのだ。この汚れない透子が傷つかないように。

 春日は夕日に照らされて熱くなったハンドルを指で弾いて言った。

「やっぱり貴女は、僕なんかと見合いしなくて正解ですよ」

 思わず呟いた自嘲気味な言葉に、透子が、どうしてですか? と問う。

「僕は貴女に、ふさわしくない人間だからです」

「逆じゃないんですか?
 お母さんなんか、すっごい春日さん、気に入ってるんですよ。

 よくあんたなんかと見合いしてくれた、とか言ってますもん」