冷たい舌

 



 なんとか二人から脱出した透子は、あー、痛かった、と腕を回しながら言っているが、懲りている様子はない。

「なにがそんなんじゃないよ。

 忠尚が、そんなんじゃなく、女の子と居るの見たことないわよ」

「そうですねえ、そうみたいですね、あの二人」

 振り返りながら思わずそう呟くと、透子は、はた、と動きを止めて、自分を見た。

「わかるんですか?」

「ええ、まあ。
 だいたい」

 ふーん、と言い、すたすたと店内に入っていく。

 後ろに付いてエスカレーターに乗った春日は、
「気になりますか?」
と訊いてみた。

「兄妹みたいに育ったからでしょうか。

 あんまり面白くはないんですよね。
 ああいうとこ見ると。

 なんだか取られたみたいで」

 それは有りがちな発想だとも思われたが、春日としては、ちょっと面白くないところだった。