冷たい舌

「いつも、やめなさいって言われるんですけどね。

 義隆のおじさまなんか、

『君のことは実の娘同然に可愛いがっているつもりだが、その趣味だけは理解できない』

 なんて、あの顔で眉をひそめて言うんですよ」

 男前だが厳しい義隆の顔を思い出したのか、春日は笑った。

 透子はフロントグラスの向こう、かなり近づいた市街に目をやりながら訊く。

「それで― お姉さんのプレゼント、何を買われるんですか?」

 ああ、と春日は口許に手をやり、
「香水にしようかと思うんです。
 もう決めてあるので、付いて来てくださるだけでいいですけど」

 一人で買いに行くのが恥ずかしかったので― と照れたように言った。

「僕の姉は今、海外に居ましてね。

 物にも選び方にも煩(うるさ)い女で。

 僕は一年前から、次の年のプレゼントで悩まなきゃいけないくらいなんです」

 眉をしかめて見せる春日だが、その口許は少し笑ってみえた。