冷たい舌

 


 次の日、いそいそと呼びに来た母に着いていくと母屋の前に春日が居た。

 玄関にかかるほどの枝を張るクヌギの木の下で、春日は少し照れたように透子を見た。

「すみません、突然。実はちょっとお願いしたいことがありまして」

 横で妙に変にわくわくしている潤子の気配を感じ、透子は睨む。

「お母さん、席、外してくれない?」

「どうして? 透子。
 お母さんも春日さんとお話ししてみたいわ」

「なんでよ?」

「だって、将来息子になるかも……ぐっ」

 口を塞がれてもなお、潤子はしゃべっている。

 それを見ながら、春日は笑っていた。

「それがですね。
 実はもうすぐ姉の誕生日で。

 プレゼント買いに行くの、付き合って欲しいんですよ」

「あー、お姉さんの」

 透子の手を振り払い潤子は身を乗り出してくる。

「そうですか。
 お姉さんの。

 それはいいことですね」

 どういいことなんだ?

 私は別にそのお姉さんと義姉妹(きょうだい)になるつもりはないぞ。