冷たい舌

「じゃ、おやすみ、和尚。また明日」
「……おやすみ」

 和尚に背を向けた途端に、造りあげた笑顔は消えていた。

 おやすみ、和尚。
 また明日― か。

 透子はその言葉の意味を噛み締める。

 いつの間にか熱を帯びていた額に気づき、そこに指を二本、押し当てた。

 額の中央は、第三の眼、力の穴チャクラがあると言われる場所だ。

 とん、と念を込めてそこを突くと、ふっと身体が宙に浮くような感覚があって、少し楽になった。

 深く息を吐き、気を落ち着けたあとで、振り返る。

 和尚はまだ、林の小道に立って、こちらを見ていた。

 透子は今度こそ、偽りのない笑顔を見せて手を振った。