冷たい舌

 和尚がもらった水を一気に飲み干したあとで、透子は言った。

「落ち着いた?

 でも、和尚。
 お酒強いのにどうしちゃったの?」

「あのやかましい音楽と、かしましい声に酔ったんだよ、透子」

 手招きしたあとで、頭を撫でてやると、透子は嬉しそうな顔をしながらも、な、なに? とちょっと怯えたように問う。

「いや。
 お前、あの中にいて、よく染まらなかったと思ってな」

 和尚も透子がそれなりに大学生らしく遊んでいたのは知っていた。

「当たり前でしょ? 私には強い意志があるもの。忠尚とは違うの」

「おい……」
と突っ込みかけた忠尚を無視して、

「どんな?」
と訊くと、透子は威張ったように腰に手をやり言った。

「龍神様を守るの」

 なんの意外性もない答えに、二人はがっくりと項垂れる。

「大丈夫か? こいつ。
 ちょっと、甘やかしすぎたよな、俺たちも」

と暗に透子の浮世離れを指摘して、忠尚が囁くと、

「ふんっだ、そうして馬鹿にしてなさいよねー」
と透子はバッグを掴んだ。