冷たい舌

 


 和尚は今日一日の疲れを吐き出すように、居間のソファに腰を下ろした。

 もう義隆たちは眠っているようだった。

 起こさないよう、そっと水を汲みに行く透子の後ろ姿を見送っていると、忠尚が言った。

「実感しただろ」

 振り返ると、忠尚はソファの背に腰かけていた。

「俺たちにとって、透子より、いい女はなかなか居ないって」

 黙っていると、それを肯定ととったのか、忠尚は、いじけたように背を丸める。

「なんだよ、お前、やっぱり透子が好きなのか?」

 莫迦、と和尚は溜息をつき、ソファに背を預けた。

「でも、そうだな。お前がそれをわかってて、なんであんなに遊び歩くのかは不思議に思ったな」

 忠尚は、ふん、と拗ねたように鼻を鳴らす。

「聖人君子のお前にはわかんねえよ」

「そうでもないぞ―」
と言うと、意味を掴みかねたように忠尚が振り返る。

 そのとき、透子が戻ってきた。