冷たい舌

「そうは言ってもあいつも男だからな」

 黙り込む透子に、忠尚は、は……と笑いかけて、止めた。

「なんだよ。お前まさか、和尚が好きとか言わねえよな」

「俗っぽいこと言わないでよね。
 そういうんじゃなくて、私―

 和尚を尊敬してるの」

「尊敬?」
 幼なじみにあるまじき言葉に、忠尚が訝しげに訊き返す。

 頬杖をついた透子はわざと忠尚の方を見ずに言った。

「だって力強いしさー、信心深いしさー、忠尚と違って、よく淵にも来てくれるしさー」

 最後のは明らかにプレッシャーだった。

「行くよ、行けばいいんだろ!?」

 忠尚は、ぐっと酒をあおった。

「いーよ、別に」

「なんだ。俺じゃあ、役に立たないってのか」
「そうじゃないけどさ」

 そのとき、女の子の甲高い笑い声が聞こえた。

 男女のグループのうちのひとつだ。側に居た男が、彼女に向かって何かふざけている。

 それを見ながら、透子は呟いた。

「コンパといえば、やっぱ、忠尚よね」

 おい、という低い声の突っ込みが入る。