冷たい舌

「俺はちょっと安心したけど」
「なんで?」

「少なくとも、俺よりは強くないってわかったから」
「あ、そ」

 別にそんな面子に拘る必要ないと思うんだけどね。透子はモスコの淡い透明な液体を見ながら、呟く。

「しっかし、和尚がコンパねえ」
「似合わねえな」

「まさか……法衣で行ったりしてないわよね」

 二人は顔を見合わせて、乾いた笑いを浮かべた。

 ありうる……。

「でもま、斉上さんが付いてってるから」

 だが、透子は、それが反って心配なんだけど、と思っていた。

 和尚は酒に飲まれる方ではない。

 むしろ、忠尚の方が弱いくらいだ。

 だが、あまり飲むのは好きではないようなので、学生時代からどうしても外せない飲み会以外は参加したことはなかった。

 店内にはコンパなのかサークル仲間なのかわからない男女のグループが何組も居る。

 ついそちらを伺っていた透子に、忠尚が低い声で訊いた。

「和尚が心配か?」

 振り返った透子は笑う。

「別に?
 忠尚ならともかく、和尚は心配してないよ」