冷たい舌

「もっと言ってやれよ、透子! お前の人生、このババアの言いなりじゃねえか」

 そう言うと、薫子は、むっとした顔をする。

「私の言いなりというが、私は透子にお前を選べと言った覚えはない。

 忠尚の方がまだ扱いやすかったのに」

「なに?」

「最初からすべて決まっていたことだ。

 透子が最初にその身を触れさせた相手が龍神の器となることは―

 だから、あのとき、初潮が来たのだ。

 今日この日の儀式ですべてを終わらせるために」

「だったら、お前……っ!」

「か、和尚~、和尚~。仏様と真剣に喧嘩しないでよ~」

 あんた、ほんとに坊主? と透子が袖を引く。

 薫子は腕を組み、ふふん、と嗤って言った。

「和尚、お前何か忘れてないか?」

「あ?」
と喧嘩越しに訊き返す。