冷たい舌

 

 
「和尚っ! 透子っ!?」
 水面に顔を出すと、忠尚たちがほとりに駆け寄ってきた。

 透子は和尚の首にしがみつくようにして、なんとか岸へと向かっていた。

「なんかこうしてると、さっき思い出したことなんて嘘みたいだわ。……泳げないし」

「……わかってる」

 春日がほとりに手をつき、手を伸ばす。その後ろに、紛れもない薫子が姿を現した。

「おい、ババア」
と早速噛み付こうとした和尚を制して、ほとりへ上がった透子は祖母を見つめて言った。

「お祖母ちゃんがあの夢、見せてくれてたのよね。ありがとう。
 今日でなければ恐らく、私は蘇れなかった。

 だけど、加奈子さんを利用したのはちょっと―」

 やはりそうだったか。