冷たい舌

「身体から、不浄の血も含め、すべての血が流れ出して―

 傷口から入り込んだ龍神の血と入れ替わった。
 簡易的な死と再生の儀式ね。

 そうして蘇った身体と、私の魂がまだ封印で繋がっていたから、この身体に引き戻されたってわけよ」

「……待て。それだと、ちょっとおかしくないか。

 なんでそう都合よく、今日、加奈子が満願を迎え、邪霊たちが動いたんだ?」

 不浄の血まですべて入れ替わったからこそ、それが成ったとすれば。

 今日、この満月の夜でなければ、その儀式は完成しなかったはずだ。

 透子は黙っている。

「……ババアは何処に居る?」

「たぶん、上― 天満さんが居るから」

「上がるぞ、透子っ」
と彼女の手を掴んだ。

 しかし、その話でいくと、もし夕べ、手を出していたら、透子は蘇れていなかったのでは。

 辛うじて、彼女の魂と身体を繋いでいたのは、あの男を寄せ付けない封印だったのだから。

 間一髪だったと、ゾッとする。

 あのババア、教えときやがれ~っ!
 恩も忘れて和尚は心の中で絶叫した。