冷たい舌

 まだ繋がっていたのよ、へその緒みたいに。この」
と己れの額の中央を指差した。

「封印と私の魂が。完全に切り離されてなかったの。

 私が魂だけになったときは、その― 神に戻っている。

 神? かな?

 便宜上、そう呼んでるけど、なんだかわかんないわ。

 結局、人間に使役させられてる。なんか人でないものよ」

 自嘲気味に透子は言う。

「一度離れたら、私はもうこの身体には戻れないはずだった。

 私が人の身体に降臨するのは、人の許しがなければできないから」

 人の枠の中に入れてもらうってことね、と透子は言う。

「待て。じゃあそもそも、どうやってお前は人になったんだ? ババアが許可したとか言ってたが」

「聞いたことあるでしょう?
 私たちが産まれる前、天満さんは旅先で熱病で死にかけた。

 お祖母ちゃんは、どうしても天満さんを助けたいと思った。

 でも、龍神にはもうその力はなかったから、私に願ったの」

 その代わり、自分が孫として産まれて来ることを許したのだと、透子は言った。