冷たい舌

「あっ、そうよ!  私、死んだんだったわ!」

 和尚? とこちらに気づき、
「あんたも死んだの?」
などと呑気なことを言う。思わず脳天に手刀を叩き落としていた。

 いったーっ! なにすんのーっ、と透子は頭を抑えて叫ぶ。

「それでなくても、頭ガンガンするのにっ」
 しゃがむ体勢になった透子は後ろ頭を摩っている。

「そりゃあ一回死んだんだからな。頭くらい痛いだろうよ」

 死んだ? と透子はあの黒い瞳を瞬かせる。

「やっぱりそうなの? じゃあ、なんで私、蘇ったのかしら」

 そう呟いたあとで、己れのうちに降りていくような目をした。
 瞳の色ひとつで、さっきの姿と重なる。

 ああ、と透子は呟いた。

「あんたがあんまりしつこいから―」
「てめえ……」

 人間の姿をした透子に言われるとむかつく。

 だが、そんな日常的な会話ができたことに、心の奥深くで、ほっとしていた。

「そうだ。私、望んだというより、瞬間的にこの身体に吸い込まれていたんだわ。