冷たい舌

「いや、透子だ。
 神凪透子という人間を経たお前もまた透子のはずだっ」

 和尚は強くその両腕を掴む。

 その細さも肌も、透子と変わらぬ感触を宿していた。

 だが、必死の呼びかけにも、女は相変わらずの鼻っ柱の強い顔で、こちらを見ない。

「お前……自分には誰かを愛するというような感情はないと言ったな。

 それなら何故、お前は人になった?

 お前は最初から俺が好きだったんだ。

 そうでなければ何故、龍神の傘下に下ってまで人になるんだ! 

 長く刺激のないところで、生き過ぎたから、感情に疎くなってるだけだ。

 神のお前にも、人を想う気持ちはある」

 和尚は言い切った。