冷たい舌

 透子、お前が此処に居るのなら、俺も一生此処に居るよ。

 その胸に頬を寄せたとき、いきなり背後から蹴り上げられた。

 なにっ? と振り返る。

 此処に一体、誰が存在できるというんだ。そう思い見ると、後ろに女が立っていた。

 いつか見た、天女のような輝くばかりの裸身―

「透子― いや、お前は……」
 神凪和尚、と女は呼びかける。

「久しぶりだな。いやまあ、ずっと側には居たんだが」

 長い夢を見ていたような気がする―

 そう言い、透子はその口許で薄く嗤った。
 ぞくりとする。

 これは、神である透子だ。

 同じ魂だが、こうして見ているだけで、完全な格の違いを見せつけられているようだった。

 それは、自分と彼女との間に、真実横たわっていた距離でもあった。

「なかなか面白かったよ、人として生きるのも」

 笑みさえ浮かべて透子は言った。

 すべてにピリオドを打つようなその言葉。

 これで本当に終わりなのか?

 すべてはこの女の気まぐれから始まって、気まぐれのまま終わるのか―?