冷たい舌

 透子は、ぎゅっと和尚の腕を袖ごと握り締めた。

 私は忘れてしまう。
 あれだけ和尚を愛した、この心を。

 もう、すぐそこまで、それが来ている予感があった。

 しゃべるのをやめたら、そこで事切れてしまいそうな気がして、透子は、口もきけないでいる和尚に向かい、話し続けた。

「……私、ほんとは見ていたかったよ。
 ずっとずっと。

 貴方の髪が、あの幻みたいに、伸びていくのをずっと」

 一瞬、あの龍のように、くねり流れる黄昏の淵の幻が見えた気がした―

「透子!」

 ああ駄目、もう口が動かない。
 何か大きなものに呑み込まれていく―

 魂がこの制約の多い身体から離れようとしているのを感じた。

 だけど、楽になるのと同時に訪れるのは、

  感情のない、永遠の深遠―