冷たい舌

 ねえ、和尚。

 貴方がくれたこの十年が、決して死ぬためのタイミングを計るだけのものではなかったこと。

 貴方にだけはわかって欲しい。

 透子の脳裏に、初夏の龍造寺の、石段の梢を彩る緑が鮮やかに蘇った。

 いつも和尚たちに会いに登った石段。
 それは、透子の楽しかった日々の象徴だった。

 大丈夫。私はちゃんと悔いなく生きたよ。
 ―ね? 和尚。

 透子は真っ直ぐ自分の腹めがけて、剣を振り下ろした。