冷たい舌

「透子ならともかく、お前にゴチャゴチャ言われたくねえよ。

 さっそくもう、亭主きどりかよ。このエセ大僧正っ!」

「なんだと!? 結婚詐欺師みたいな真似ばっかりしてる癖に、お前なんざ、透子のカウンタックに轢かれて、死んじまえっ」

 すぱん、すぱん、と二人とも頭をはたかれた。

 振り返ると、扇を持った透子が腕組みして立っていた。

 なんで私のカウンタックよ……と呟いている。

「あのねえ、二人とも。被害者は私なのよ。
 許すか許さないかを決めるのは私なの。

 あんたたちだけで、勝手にエキサイトしないでくれる?」

「お前、こいつを許すつもりか?」

 ついらしくもなく声を荒げると、ふうっと透子は息をつき、目頭に指を当てて言った。

「まあ、許したくないとこなんだけど、許さないと、仲直りしないでしょう?

 気持ち悪いのよ。あんたたちが喧嘩したままだと」

「気持ち悪いとか悪くないとか……」

 そういう問題か?

 だが、透子は溜息のあと、なおもこう言った。
「和尚。お願い、仲直りして」

「嫌だね」
「仲直りしろっつってるでしょうっ!?」

 透子は和尚の片頬を掴んで引っ張った。