冷たい舌

「和尚……」

 目が覚めてきたのか龍也が、不安げにこちらを見ていた。

 だが、和尚はそれには構わず、足許にあった蓋の開いてない缶を踏み潰す。

「おいっ」

 思わず和尚を止めようとした龍也に、和尚は振り返らずに低い声で言った。

「龍也。今、見たことは忘れて、おとなしく寝てろ」

「かず……」
「そうでなきゃ、お前でも、術を使って忘れさせるぞ」

 ただならぬ気配に、龍也が唾を呑み込んだ。

 和尚は開いた窓に、はためく白いカーテンをただ見つめる―