冷たい舌

「まあまあ、龍神の巫女様の言うことを信じなさい」

 透子に、ばんっと背中をはたかれ、和尚は咳き込んだ。

 それを見て、含んだように笑うと、
「なんだよ?」
と訝しげにこらちを見遣る。

 なんでもないよ、とその腕にしがみついた。
 和尚が狼狽える。

「やっぱり、寒くなっちゃった。このまま送ってって」

 しょうのない奴だな、と溜息をつきはしたが、ちっとも厭そうじゃなかった。

 和尚の袖に透子はその顔を寄せた。黙って、目許を押しつける。

「透子?」
と、和尚が心配そうに見下ろした。

 淵から届く夜風は今も邪気を含んでいて、透子は、そっと溜息を漏らした。