冷たい舌

 髪がこんもりと水から浮いている。

 その下の暗い空間に、光る二つの眼があった。

「きゃーっ! おっ、おばけっおばけっおばけーっ!」

 おどろおどろしい幽霊の前には、龍神の巫女も形無しだった。

 盲滅法、手を振り回し、髪を払って逃げようとするが、うまくいかない。

 思わず透子は叫んでいた。

「か、和尚、和尚、和尚ーっ!」

「透子っ」

 ガラッと戸が開いて、顔を覗けたのは龍也だった。

 その瞬間、ふっと手を絡めとっていた気配が消えた。

「龍也っ!?」

 駆け寄った龍也に、透子は縋りつく。

 そして、水面を指さし、
「あれ、あれ、あれ、あれっ! あ、あれ? ない……」