冷たい舌

 


 
 透子は水を張った檜の風呂にその身を浸した。

 淵から引いている御神水だ。

 縦格子の窓から月が見える。

 そっと水を掬い窓際に運んだ。手の中の水にその姿を映す。

 ゆらゆらとほとんど満ちている月が揺れていた。

 髪まで水で濡らして上がろうとした透子は、水の中に、たくさんの髪が浮いているのに気がついた。

 始めは自分の髪が抜けたのかと思った。

 だが、それにしては短いようだし。第一、数が多すぎる。

 なに……?

 思わず伸ばした透子の手に、それは絡みついた。

「きゃっ」
 ぐいっと引かれて、水の中に突っ込む。

「やだっ」

 底に手をついて、必死に立ち上がろうとする自分の前に、光るものがあった。

 え……?