冷たい舌

 やっぱ、なんか変だ、あいつ……。

 こういうときには、どんな遠くにいても、口を挟んでくるのに。

 今の透子は、まるで何も気づかぬように、機械的に御守りを売っている。

 いつから変なんだろう、そう思い返してみたが、よく考えたら、いつも何処かが変なので、特定するのは難しかった。

「よそ見すんなよ」
といきなり、これ見よがしに龍也に小突かれ、和尚は後ろ頭を押さえて振り返る。

「てめ、木箱の角で殴りやがったな!」
「それがどうした。このスケコマシッ!」

「なんだと、このビジュアル系バンドのギタリスト!」
「その言い方は止せっつってんだろ!」

「やめんか、お前ら~っ!」

 叫ぶ公人にようやく振り返った透子が、呆れたようにこちらを見ていた。

 それはもう、いつもと変わりない透子の目に見えた。