拝殿の後ろ、淵へ続く林のなかに透子は居た。
木に縋って、ぼんやりとしている透子の袴が風にそよいでいた。
風に音を立てる葉の隙間から落ちる光が、ちろちろと揺れている。
透子が何処を見ているのか、わからない。
この俺でさえも―
忠尚が龍神の巫女として生きようとしている透子に苛立ちを覚えているのは知っていた。
彼女がそうしている限り、誰のものにもならないからだ。
神仏に遣えて生きようとする自分は、忠尚よりは、透子に近い位置にいるのかもしれない。
だが、やはり自分にも透子の見ているものは見えなかった。
何をしても、何になっても、俺は透子を掴めない。
そんな苛立ちが、和尚の中にはいつもあった。



