冷たい舌

 ごちそうさまー、とそそくさと自分の食器を重ねて立ち上がる。

 すぐさま、見逃さない潤子の鋭い声が飛んだ。

「ちょっと!
 あんた、後から春日さんにお詫びの電話かけておきなさいよ!

 そこのテーブルの上に、釣書があるから」

「あっ、いっけなーいっ
 。参拝の時間だっ、和尚に怒られちゃうっ」

 逃げるように走り去る透子の背に向かい、潤子は叫んだ。

「もう~っ。
 和ちゃんも忠ちゃんも透子を引っ張り回してっ。

 どっちか責任とってくれるんならまだしもっ」

 縁側に出ても、まだ潤子の声が響いていた。