冷たい舌

「あの二人、カウンタック、苦手だから。

 忠尚は最初は物珍しがってたんだけど、私の運転に懲りたらしくて」

 斉上は笑って、そうじゃないよ、と言った。

 斉上と居ると、女の子たちが振り向いて見ていく。

 忠尚たちとはまた違う、人を惹きつける雰囲気が斉上にはあった。

 本当に、今どきの格好いい男の人だ。

「あの車2シーターだから、二人きりになるだろ。
 絶対駄目だって煩い煩い。

 俺がハンドル握るんじゃないから大丈夫だって言ってんのに」

 カウンタック、と呟き、透子はうっとりとする。

「今や自分の車なんでこんなこと言うのもなんですけど、美しいですよね~」

 カフェの向こうに覗く己れの赤い車を祈るように見つめる。

 この席にしたのは、車が見張れるからというのもあった。

 しかし、あの位置に止めては、無駄に人目を惹いている気もするが。

「そういえば、好きだったよねえ、昔から……」

 斉上の話を聞きながらも、太陽に輝くその色に透子は目を奪われる。

 いつかレプリカも見たことがあるが、もうまったくオーラが違っていた。

 本物の鋭い威圧感は、生きてそこに居る獣のようだ。