冷たい舌

 


 車を少し走らせた市街の外れにその喫茶店はあった。

 外にもテーブルがあって、大きな木の影になっているところなど、見るからに涼しそうだった。

 白いパラソルの下、細い藤の椅子に腰かけた透子は物珍しげに辺りを見回す。

「へー、こんなお店が出来てたんですね。知らなかった。
 学生じゃなくなってから、ちょっと疎くなっちゃって」

 斉上はオレンジと紅茶が層になったセパレートティーを前に、笑っていた。

「でも、今でも大学行ってるんでしょ」

「行ってはいますけどね。もう友達もみんな卒業しちゃったし」

 そこで言葉を切って、透子はチャイを一口飲んだ。

 そして、あち、と顔をしかめる。

 斉上は、それを面白そうに眺めていた。

「まだ治ってなかったんだね」
「え?」

「猫舌」

「……治る治らないって、病気じゃないんですから」

 情けなげな顔をする透子を見て、斉上は笑顔を見せた。

 長すぎる脚を持て余すように組み替えて、木の丸テーブルに手をつく。

「いや、でも、ラッキーだった。透子ちゃんに出会えて。

 一度乗ってみたかったんだよね、あの車。でも、和尚たちが煩いから」