冷たい舌

 だが、なんのかんの言いながら、試験期間中なのに、結局、手伝っている辺りは可愛らしくもある。

「何処行くんじゃ、お前は」

 透子がよそ行きの卵色のワンピースを着ているのに気づいて公人が言った。

 透子は手に持っていた青いビニール素材の袋を肩に乗せて言う。

「CD返しに行くのよ。龍也、あんたももう聞かないでしょ?」

 龍也は肩に担いでいた木材を降ろして、それに縋る。

「それ、一週間レンタルだったろうが」

「だって、思いついたときに返さないと忘れちゃうんだもの」

 だいたい、レンタル返しに行くだけで、そんなにめかし込むのはお前くらいのもんだと、ぶつぶつ言っている。

「なんか借りて来たげようか? でも、返しに行くのは自分で行きなさいよ」

「いいよ。別にねえから。
 ったく、お前は、せっかちだな。

 この間、借りたばっかりじゃねえか。ぎりぎりまで借りときゃいいんだよ」

 その言葉に透子は笑った。

「……なんだよ」

「なんでもないよ。じゃあね」

 透子は二人に手を振って、カウンタックのある頑丈な車庫に向かう。