冷たい舌

 それにしても、透子ちゃんは、どうして和尚を拒絶するんだろう。

 今更、そんなことをしても、意味があるとも思えない。

 あれから十年、八坂の夜は年々、暗くなる。

 霊力を持つ土地であるが故に、悪いものを引き付ける力も強い。

 このまま、この八坂がどうなるとしても、ただの人間である自分たちにはどうすることもできないのに。

 透子ちゃんが巫女であり続ける意味なんて、何処にも―

 そのとき、天満の頭に、ひとつの考えが閃いた。

 まさか。

 なんで今までその可能性を考えてみなかった。

 過去の因習だと思っていたからか。

 いや、それはこの八坂ではつい最近まで行われていたこと。

 龍神の巫女であった透子ちゃんなら、すぐに思いつくほど身近なことのはずなのに。

 駄目だ。和尚!

 今すぐ透子ちゃんを巫女から降ろさなければ!