冷たい舌

「いやいや、気にせんでええ。
 儂は、もうちょっとここを見ていくから、透子」

「はい」

「春日さんに、拝殿の道具を見せてさしあげなさい」

 はい、ともう一度、返事をした透子は、春日を先に行かせると、笑顔の公人の肩を引っ張り、耳打ちした。

「ちょっとおじいちゃんっ。また何か企んでるでしょうっ」

「ほんに、人聞きが悪いのう、お前は」

 そう言って、しっ、しと透子を払いかけ、ああ、そう、とついでのように言った。

「和尚も呼んどるから。向こうが済み次第、来るじゃろう」

「おじいちゃんっ!?」

 自分が怒らすなって言ったくせに、なんで、春日さん……。

 ああ、と透子は溜息をついた。

 逆療法狙ってるんなら、今は無理かもよ~。

 この間の形相を思い出し、重い足取りで透子は拝殿に向かった。