冷たい舌

「美しくないものは神は好まないと思いませんか?」
と透子は笑って見せた。

「舞のとき、後ろ括って前髪を上げて、前に大きな飾りをつけて、なんてのも、私、似合わないんですよ」

 だからしないんです、と透子は言い切る。

「額に神が降りてくるという話もありますが、本来はそれが美しかったから、そういう様式になったと思うんです。

 でも、私は似合わないから、やんなくていいんじゃないかと思って。

 神様に最高の状態を捧げることこそ意味があると思いませんか?」

「はあまあ、さすが、カウンタックに乗ってらっしゃるだけのことはある……」

 それがなんの関係があるんですか、と透子は上目遣いに軽く睨んで見せる。

「決まった形式には拘らないというとこがですね、ちょっと」

「春日さんは、形式守るのがお好きでしょう? 厭味じゃなくて」
と笑うと、春日は不思議そうな顔をする。

「貴方は仏教系の人だから、戒律に厳しいでしょう?」

「ああ、家が寺だからですか?」