冷たい舌

「いえ、千早を着てらっしゃるから」

「ああ、私は普段から、わりとこうなんです」

 透子は白衣の上に、ちゃんと白い薄絹の千早を羽織っていることが多い。

「だって、これ着ないと本来、下着のままってことですよね? 事務的な仕事や雑用をやるのには、その方が適してるんですけど」
と呟く透子に、

「巫女が本当のシャーマンだった時代には、有り得ないことだったでしょうね」

 確かに貴方にはその方が相応しい、と春日は微笑む。

「髪を括られないのもそれでですか?」

 ああ、これは、と透子は後ろに流したままの髪に手をやる。

「それもあるんですけど。
 あんまり似合わないから」

「はい?」

 私、あんまり頭の形、よくないんですよねー、と透子は自分の後頭部を撫でる。

「似合わないんですよ。だから」

 はあ……、と春日は気の抜けたような返事をする。