冷たい舌

「なんだよ、俺は心配してやってんだぞ。
 お前は和尚を信用しすぎだ!」

「そんなことないわよ!

 なによ、あんた自分が彼女とうまくいってないんじゃないの?
 八つ当たりしないでよねっ」

「なんだと!?
 誰のせいでうまくいってないと思ってんだ!」

 思わず透子に掴みかかりそうになった忠尚の襟首を公人が引いた。

 老いても力の衰えない公人に押えつけられ、忠尚は透子を睨む。

「やめんか。
 禊のすんだ透子に触れてはいかん」

「巫女なんてもうやめればいいんだ!

 ただの女になってよく考えてみろ!
 自分がどれほど傲慢な人間か!

 いつでも自分は人とは違う場所に居るって顔しやがってっ」

「忠尚!」

 公人の叱責に、さすがに言い過ぎたと気づいたのか、忠尚は罰の悪い顔をした。

「忠尚」

 透子は傷ついていることなどおくびにも出さずに、静かに忠尚を見下ろして言った。