冷たい舌

「かけてるよ!」
「なにがよ!?」

 忠尚は一瞬詰まり、負け犬のように叫んだ。

「そんなのなら、偽装結婚とかって、格好つけたりすんなっつってんだ!」

「偽装結婚は偽装結婚でしょ?
 格好なんてつけてないわよ!」

「お前等、母屋に聞こえるじゃろうが……」

 口さがない二人の喧嘩に、呆れたように上げた公人の声もかき消される。

「じゃあ、あんなことすんなよ、龍神の巫女様。

 龍神様は何処までなら許してくれるわけだ?

 その限界までなら、なにしてもいいっていうのかよ」

「やらしい言い方しないでよ。
 私はあんたとは違うもの」

「違わないよ。
 やってることは同じだろ?

 奇麗ごとばっか言ってんなよ、透子。
 お前の悪い癖だ」

「うるさいわね」

 ぷいっと透子は忠尚から顔を逸らした。